【コラム・冠木新市】つくばセンター地区で行われている活動で私が注目しているものがいくつかある。

  • 筑波学院大内のフランス料理店「グルマン」(土曜日のランチ時はほぼ満席状態)。
  • エキスポセンターで月1開催の「星空コンサート」(早めに予約しないと入場できない)。
  • つくば国際交流協会がBiViで月1開く「世界のお茶のみ話」(1月のフランスの回では立見となり70人を超えた)。
  • バス停駅前広場で春夏秋冬カセットデッキから歌謡曲を流す元研究員の演歌おじさん(貴重なラジオ番組を録音して聞いている)。
  • キュートの「中古レコード店」(1年以上前に期間限定で開店したがまだ継続中)。

それぞれにファンがついているが、他の活動についてどれだけ知っているだろうか。集まった顔ぶれは異なっている。つまり、センター地区内の連携は弱い。また、他の活動の関係者と話をすると、皆、センター地区活性化のグランドデザインの必要性を感じており、だれかが旗を振るのをうかがっている。

一番肝心なのは活性化を願う市民の盛り上がりだが、残念ながらその必要性を感じていないように思える。この状況下でワークショップを企画しても焼け石に水、馬の耳に念仏だ。

では、何が必要か。アジア初のオリンピックが東京で開催された1964年、私にとっては大事件ともいうべき映画が公開された。「三大怪獣 地球最大の決戦」(本多猪四郎監督、円谷英二特技監督)である。

三大怪獣とは、ゴジラ、ラドン、モスラのことで、それぞれ主役を張った怪獣が同一画面上に勢揃いした。さらに興奮させられたのが、ヤマタノオロチをモデルに造型された、三つ首に竜の顔、西洋の悪魔の翼、二つの尾を持つ、全身金色で覆われた宇宙怪獣キングギドラの新登場である。この悪役怪獣が三大怪獣と戦った。

地球滅亡の危機を救うために、モスラがゴジラとラドンに協力を要請するが、「俺たちの知ったことか」と無視される。仕方なくモスラは一匹でキングギドラに戦いを挑むが、あわれギドラの引力光線で吹き飛ばされてしまう。

その姿を見たゴジラとラドンは急に改心してギドラに向かっていく。ラドンの背に乗ったモスラが繭糸をギドラに吐きかける場面があったりして、三大怪獣の連携プレイにオリンピックみたいに心を熱くしたものだ。ラストは、キングギドラが退散し、地球の危機は回避された(現在ハリウッドで再映画化が進行中)。

この映画から学べないか。活性化をアピールしたり、地区内情報を共有したり、グランドデザインをつくるよりも、市民の関心を呼び覚ますためには、キングギドラみたいなキャラクターが求められる。

つまり、センター地区活性化に反対するような運動が必要なのかも知れない。このことをセンター地区に住む団員に語ったところ、「私たちは三大怪獣みたいな存在ですか」と不満気であった。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)