【コラム・相澤冬樹】地べたにへばりつき、1月31日の夜はずっとお月様を見上げていた。なんでも「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」というレアな皆既月食が出現するというのだから、今生最後の観賞機会と心得た。

2018年は1月2日にいきなり満月があって、これが月と地球の距離が今年一番近づくスーパームーンだった。月はまだ地球に近い楕円軌道上にあって依然大きく見えるのに加え、1カ月に2度の満月は珍しいということ(青い月が出るほど「ありえね~」ってニュアンス)でブルームーンと呼ぶ。そして地球の影にすっぽり入り込む皆既食で、月は真っ黒になるのではなく赤銅色に変化するため、レッドムーンと呼ばれるのだが、ブラッドムーン(血の月)の別名もある。

なにより欠け始めから3時間以上観測でき、皆既食だけで1時間以上に及ぶロングラン、これこそがレアケースで、多少の夜更かしをすればじっくり観察できる。なのに夕刻には雲が広がり、夜半には最悪の空模様も懸念されていた。ところが午後8時半過ぎには空はすっかり晴れ渡り、風もない。自宅庭先でできる天体観測だから、ヒートテックもろもろ着込めば零下の寒空も耐えられる。

いい機会だから、一度はやってみたかった月食の連続写真にもチャレンジしてみた。カメラの手振れ防止機能に頼って、三脚なし手持ちで月を追ったがおかげで首筋は張り、手はかじかむ。後半の部分食が終わって、月が雲間にかかり、にわか天体写真家が風呂に飛び込んだときには、日付どころか月まで代わっていた。(ブロガー)