《邑から日本を見る》5 食べ物が左右する私たちの身体

飯野農夫也の版画「憩い」

牛久在住の長谷山俊郎さんが食べ物と健康に関する3冊目の本を出した。長谷山さんは農水省の研究機関である農業研究センターや農業工学研究所などで地域農業、地域づくり、地域活力などの研究を行ってきた。退職後の2003年、「日本活力研究所」を設立し、食と健康の関係について講演や執筆活動を精力的に行っている。

今回の本のタイトルは「健康を担う『日本の食』 病気を生む『欧米の食』」(農林統計出版)で、「健康はあなたが摂るもので決まる」(素人社)、「食が体をつくる」(素人社)に続く。私は、彼が農水省の研究センター在職中から付き合いがある。

私はこれまで、「人間の身体は食べ物と水から成り立っている。よくない食べ物や水を摂っていれば、病気になるのは当たり前だ。日ごろから気を付けよう」と訴えてきた。

長谷山さんも同じ考えだ。本書によれば、不健康、病気の原因は、私たちが日常摂っている食、特にパンを含む小麦製品、肉類、健康に良いとされてきた牛乳・乳製品などの「洋食」にある。逆に、日本人が昔から摂ってきた米(特に玄米)、植物性食品、味噌醤油、漬物などの発酵食品などが健康を担ってくれる。それらは、体の免疫力と清浄力を高め、病気を追い払い、私たちを健康体にしてくれる。

著者はこのような考えに立ち、洋食の問題を明らかにし、日本の食の見直し、再評価を行っている。

本書の前半では、現代の小麦は品種改良などにより体の臓器や骨、脳に炎症をもたらし、腸の病気、糖尿病、心臓病、高血圧などの現代病を生んでいるとさまざまなデータを使い、警鐘を鳴らしている。

さらに、がんが何故増えているのかに迫る。著者は、がん細胞を増殖させるのは動物性たんぱく質即ち肉と牛乳・乳製品だということを、これまでの研究成果を挙げながら実証する。そして、乳がんや前立腺がんも牛乳が促進するとし、「牛乳神話」からの脱却を呼びかけている。糖尿病や認知症も食の摂り方で防げるともいう。

本書の後半は、どうしたら健康になれるのか、健康を維持するにはどうすればいいのか、何を食べればいいのかに焦点を当てる。

著者は、最近はやりの除菌、殺菌を控える、化学肥料や農薬、添加物の入ったもの、白砂糖、チョコレート、清涼飲料水などを多く摂らないなどの注意が必要だという。

最後に著者は、日本人が米を選び、肉を排除した食の歴史と、みそ、しょうゆ、酢、みりんなどの発酵食品の重要なことを語る。その上で、日本の食の基本は玄米ご飯+みそ汁+漬物+梅干しというシンプルなもの、と結論付けている。多くの人にとっては「目からうろこ」と言える一冊だ。(先﨑千尋)