《雑記録》2 参院選雑感:山本太郎とは何者か?


【コラム・瀧田薫】参院選は投票率50%を割る低調ぶり。目立ったのは「NHKから国民を守る党」(N国)と「れいわ新選組」(れ新)が議席を獲得し、政党の成立要件を満たしたことぐらいだろうか。

「N国」はいわゆるワンイッシュー政党で、NHK攻撃に特化した政党である。代表の立花孝志氏(51)は、自ら公言しているように、思想的な背景をもたない。文筆家・古谷経衡氏は、「『N国』に投票したのは、思想もなく、主張もなく、思慮もなく、『なんか面白そう!』というノリで投票する、限りなく無色透明の『政治的非常識層』」(YAHOOニュース、7月22日)という。

古谷氏に依拠して「N国」の今後を占えば、この党がワンイッシュー政党であり続けるのは難しいと思う。結局、保守系無所属議員との連携に活路を見いだすしかないだろうが、その先がどうなるかは分からない。

「れ新」は党代表・山本太郎氏(44)のカリスマ性が突出しているが、ワンマン政党ではない。山本氏は「代弁者ではなく当事者を国政の場へ」というスローガンを掲げ、比例代表特別枠に、障害をもつ船後靖彦氏と木村英子氏を指定し、自らは落選覚悟の選挙を戦ってみせた。特別枠を地方区から出馬できなかった前職への補償枠とした自民党とは大違いである。

ポピュリストとは一線を画す政治家?

ともあれ、山本氏とはいかなる政治家か。彼はポピュリストか否か。以下、この1点に絞って検証してみよう。

ポピュリストの基本的特徴はその政治手法にある。まず、政治から見放(みはな)されている人々に呼びかけ、利己的で腐敗した政治・経済・文化エリートがあなた方の不幸の原因だと攻撃し、人々の怒りに火をつける。

しかし、人民の側に立って体制を批判し、既成の権力者を攻撃する者が、皆ポピュリストというわけではない。真のポピュリストとは「自分だけが真に人民を代表する」と主張する者である。つまり、人民とその代表者たる自分を同一視し、当然の帰結として、彼の主張に対する異論・反論はすべて人民の意志を否定する「非民主主義的」言説として切り捨てる。

本来、民主主義のもとでは、抑制、均衡、多元性が尊重され、その制度的保障として「三権分立制」などがある。しかし、ポピュリストにおいては、そうしたもの一切が「人民の意志の実現」を阻(はば)む障害物でしかない。ポピュリストは対立や分断を利用し、誰が「真の人民」なのか、そして彼らがいかに強力な存在であるか、繰り返し主張し続け、それに賛同しない人々は人民の敵、国家の敵として指弾(しだん)される。

山本氏が掲げたスローガンにおいては、「代弁者」と「当事者」が明確に分けられていた。この事実を確認しておきたい。彼がこのスローガンを掲げ続ける限り、彼は「真のポピュリスト」とは一線を画す政治家であるだろう。このスローガンが彼の直感から生まれたのか、誰かの助言によるものなのか。出来れば、彼に直接聞いてみたいと思う。(茨城キリスト教大学名誉教授)

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