《続・気軽にSOS》29 「ゲーム依存症」が病名に


【コラム・浅井和幸】昨年6月、世界保健機関(WTO)が国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)を公表、WTOによる30年ぶりの改訂と、厚生労働省からの周知がありました。これを受け、ICD-11の日本への適用案が公表され、和訳案を今年5月開催のWHO総会に提出する手続きが進められます。そして、数年の審議を経て国内で施行されます。

簡単に言うと、これらの分類が病院の診断書に書かれる診断名の基準に使われるということですね。私は精神保健福祉士ですので、注目は精神科が扱う疾患です。これらの診断名は、治療、障害者手帳、障害者年金、障害者福祉支援などの利用に大なり小なり影響がありますので。

日本での適用は数年後にはなりますが、「精神および行動の障害」に関して注目されるものの一つに「ゲーム依存症」があります。「Gaming Disorder」は、「ゲーム障害」でしょうか「ゲーム依存症」でしょうか。ネット依存症なんて言葉もありますが、ネットで何をしているかで、ギャンブル依存なのか、買い物依存なのか、他の依存症なのか、診断が分かれるかもしれません。その辺は施行を待ちましょう。

依存は程度問題 付き合い方も大事

前置きが長くなりましたが、今回お伝えしたいのは、このような病名が一般に広まると、ゲーム自体が悪者にされ、排除され過ぎる場面の懸念です。

一昔前に、病名ではありませんが、「ゲーム脳」なんてグロテスクな概念がはやりました。脳に異変が起こるぐらいゲームをすることは危険という考え方ですが、その後、様々な識者から批判、否定されていますので、お気を付けください。

依存という病名になるほどのもとは、すべて排除した方がよいと考えるとどうなるでしょうか。ICD-10では、アルコール、幻覚薬、タバコなど、様々な依存性物質による依存症候群の分類がされています。ここまでだと、なくした方がよいという人が多いかもしれませんが、それに並んでカフェインもあるのです。コーヒー、お茶、栄養ドリンク、ココア、チョコレートも排除した方がよいと主張する人は少数になるでしょう。

ゲームもまったく同じです。すべては程度問題であることを認識して、生活に支障が出るようにならなければ、生活の潤いになることは忘れてはいけないのです。排除ではなく、うまい付き合い方、対人間や社会とのコミュニケーションも並行して考えられるとよいですね。

それでも支障が出るようになれば、医療という力も借りられる時代が近くまで来ていると捉えましょう。その先には、心理や福祉の力が続くことも考えられます。

今現在でも、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターでは、治療の対象とされています。身近な所では、県精神保健福祉センター地域の県保健所、県保健センターに相談するようにしてみてください。(精神保健福祉士)