金曜日, 3月 29, 2024
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つくば駅前にアイスと雲のタペストリー 「涼」をテーマにデザインコンペ

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最優秀を受賞した鈴木栞那さん㊧とリ・ハクさん=プラザ・パフォーマンス・ギャラリー(つくば市吾妻MOG1階)

【谷島英里子】関東甲信地方が梅雨明けした29日、つくば駅前のつくばクレオスクエアMOG1階にあるプラザ・パフォーマンス・ギャラリーは、涼感たっぷりの大型タペストリーで彩られた。筑波学院大学とつくば都市交通センターが主催する「空間デザインコンペティション」の授賞式が行われ、市民投票などで選ばれた優秀作品のタペストリー展示が始まった。

コンペは同大学メディアデザインコース3年生がデザイン教育の実践的な取り組みのため、2015年から行われ、つくばセンター地区のにぎわいにつなげている。今回も初めに学生の21作品がパネルで展示され、一般市民が投票。その後審査員らが優秀賞を、鈴木栞那さんの「カラフルアイス」とリ・ハクさんの「雲」に決めた。

「カラフルアイス」は、イチゴやレモンなどのフルーツアイスをみずみずしく色鮮やかにデザイン。特に子どもに楽しんでもらおうと、アイスの棒に「あたり」「はずれ」の仕掛けをした。

最優秀を受賞したリ・ハクさん作「雲」

「雲」は、目を閉じて草原で風を感じる少女を描き、少女が着るスカートと青空の雲を合わせた。作者は「少女が涼しそうに感じている顔の表情をじっくりと見てほしい」という。

プラザ・パフォーマンス・ギャラリーの吹き抜け空間には、テーブルといすが設置され、ゆっくり鑑賞することができる。会期は9月30日まで、前半(鈴木栞那さん)と後半(リ・ハクさん)に分けて1作品ずつ展示される。

審査員長を務めたつくば都市交通センターの茂木貴志理事長は「つくばの夏の始まりにふさわしい作品で、とても涼やか。多くの人に立ち寄ってほしい」と話していた。

《学生インタビュー》18 放課後子ども教室で活動 コミュニケーション力ついた

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放課後子ども教室で子供たちと遊ぶ枝晃雄さん(中央)=水戸こどもの劇場提供

筑波学院大学(つくば市吾妻)は、学生が教室から地域に出て、NPOや企業などと社会貢献活動をするオフ・キャンパス・プログラム(OCP)に取り組んでいる。経営情報学部ビジネスデザイン学科3年の枝晃雄さんは昨年、認定NPO法人水戸こどもの劇場が実施している放課後子ども教室で約2週間、指導員の手伝いをしながら子供たちと過ごした。活動を通してコミュニケーション力がついたと成果を強調する。

枝晃雄さん=つくば市吾妻、筑波学院大学

筑波学院大学
経営情報学部ビジネスデザイン学科3年
枝晃雄さん
県立茨城東高校出身

―昨年、認定NPO法人水戸こどもの劇場(水戸市見川)で活動しました。なぜ選んだのですか。

子供が好きなので、子供たちと接してみたい、どんな接し方があるか勉強したいと思いました。

―どんな活動をしましたか。

去年8月、夏休み中の約2週間、水戸こどもの劇場が茨城大学附属小学校で実施した「放課後子ども教室」に参加し、指導員の手伝いをしました。子供たちは小学1年生~3年生まで30人くらい。午前10時から午後4時まで、子どもたちと外で遊んだり、室内でオセロをやったり、映画を見たりして過ごしました。毎日、お弁当を持参して一緒に食べたりもしました。

―子供たちと接する上で心掛けた点はありましたか。

こどもの劇場の指導員の方からは「子供たちに『あーしなさい、こーしなさい』とは言わないでそっと見守ることと、子ども同士のけんかで暴力があったときはすぐに止めること」の二つを注意するように言われました。

最初はこちらが話し掛けても、子供たちから返事が返ってくるだけだったのですが、毎日通ううちにだんだん慣れて、そのうち子供たちの方から話し掛けてくれるようになりました。1週間目くらいのとき、割った竹にそうめんを流して流しそうめんをやったんです。一緒に食べたのをきっかけに、子供たちとの距離が縮まったような気がします。

男子から将棋をしようと誘われて、それまで知らなかった将棋のルールを覚えました。女子からは折り紙でアクセサリーを作ろうと誘われ、一緒に作ったりしました。

―どんなことを学びましたか。

子供たちと接する場合は大人と違って、次はどんな行動をするのかを想定しながら接することが大事だということを学びました。元気に走り回っている子がいたら、転んでしまうかもしれないと想定しながら見守るということです。指導員の方はその点、上手にやっていて、さすがだと思いました。

とても元気な男の子と女の子がいて、帰宅して親に話すと、自分も子供の頃、元気に走り回っていた子だったと言われ、自分の子供の頃を振り返る機会にもなりました。最終日に子供たちからお礼の手紙とか、ヒマワリの種、紙風船などをもらったのですが、今も大切にとってあります。

―活動を通して得たものは何ですか。

コミュニケーションの仕方と、子供のことを考えて行動するということです。もともと自分から知らない人に話し掛けるのが苦手だったのですが、OCP活動を体験して、大学の授業や話し合い場で自分から意見を言うことができるようになり、コミュニケーション力がついたと思います。

子供のことを考えるということは、僕は今、ファミリーレストランでアルバイトをしています。ある日、家族連れのお客さんが来て、子どもがゼリーを床に落として泣いてしまったんです。このとき、店長に言われなくても、自分から新しいゼリーを持って行ってあげることができました。お客さんにはとても感謝されて、相手のことを考えて行動するというのはこういうことかと実感しました。

放課後子ども教室で子供たちと一緒に流しそうめんを食べる枝晃雄さん(中央)=水戸こどもの劇場提供

―大学では今、どんな勉強をしてますか。

ビジネスデザイン学科なので、パソコンで映像をつくったり、イラストを描いたりしてます。ものづくりに興味があるので、人気商品になるようなシステムを開発したい。それから子供からお年寄りまでだれで遊べる簡単なルールのゲームなども作りたいと思ってます。

―なぜ筑波学院大学を選んだのですか。

水戸に住んでいるので、当初、水戸周辺の大学に行くことも検討したのですが、システムエンジニアを目指しているので、パソコンやデザインの教育に力を入れている筑波学院大学に進むことを決めました。今、水戸から電車とバスで1時間半かけて通ってます。頑張って勉強してシステムエンジニアの道に進めるようになりたいと思います。

―大学生活はどうですか。

大学はにぎやかで楽しいです。人見知りする性格なので、入学した当初は自分から人に話し掛ける勇気がなくて雰囲気になじめなかったのですが、今はいろんなことを話す友達もできて楽しく過ごしてます。

今年夏には日立市のソフトウェア開発会社にインターンシップに行く予定です。これからもっと勉強を頑張って、専門的な知識を一つでも増やしたいと思っています。

(聞き手・鈴木宏子)

《留学生インタビュー》3 犬猫と共生する知識を吸収 人のやさしさに触れた

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動物愛護団体のシェルターで保護されている猫を抱きしめるレイギョウさん

学生が学外で活動して経験値を高める筑波学院大学(つくば市吾妻)の社会参加型教育プログラム(OCP/オフ・キャンパス・プログラム)で、中国・内モンゴル出身のレイギョウさんは「NPO法人動物愛護を考える茨城県民ネットワーク」に運営スタッフとして参加した。同大入学前、つくば国際ペット専門学校(同市沼田)で学び、入学後は動物愛護団体のシェルターでの実践を通して飼い主の責任に目覚めた。「OCP活動で成長できた」と話す。

レイギョウさん。いつも学習に利用している学院大附属図書館の前で=つくば市吾妻

経営情報学部 ビジネスデザイン学科 3年
 レイ ギョウ(冷凝)さん

―動物愛護活動に参加を決めたのはなぜ?

動物が好きで学院大に入学する前の2年間、つくば国際ペット専門学校のペット総合コースで勉強しました。この経験もあって、OCP活動を受け入れてくれる自治体や企業など多くの団体の中から、迷わず「動物愛護を考える茨城県民ネットワ-ク」に決めました。

―具体的な活動は?

里親募集をする犬猫の飼育と、里親探しに不適な犬や猫を保護して殺処分を避けるためのシェルター(土浦市)で、スタッフの皆さんと犬と猫の世話をしました。犬20頭と猫20匹がいて、餌やりと犬の散歩、室内の清掃を任されました。シニアの犬が多く、病気治療のために薬を飲ませるのも活動の一つでした。

―活動の中で印象に残っていることはありますか?

どの子も私を覚えてくれて、2日目には「遊ぼうよ」と近づいてきました。すっごくかわいかった。それと、雨の日も風の日もお正月も世話は休めません。活動中の8月に大型台風がきて、誰もシェルターに来られなかったら大変とこわごわ運転して行ったら、スタッフ全員がいました。動物たちへのやさしさと責任感に感激しました。

―活動を通じて学んだことは?

ペット専門学校で捕獲された犬や猫が殺処分されていることなど、ペットたちの状況を勉強しました。でも実感できなかった。シェルターで一緒に過ごすことで動物たちの命に対する認識が深まり、不妊手術をした猫の耳先をV字にカットすることを知りました。

今はペットを飼う人には「不妊手術をして一生面倒を見てあげて」と話します。活動で学んだことを活かすことで動物愛護に貢献できていると思います。ペット可の部屋で犬と猫と暮らしていますが、不妊手術をして猫にマイクロチップを埋め込んでいます。

―将来像はどう描いていますか?

グローバルコミュニケーションコースで学んでいて、日本語教師を目指しています。卒業後、都心でもっと日本語力をつけてから中国に帰り、日本語を学び人の役に立ちたい。

―大学生活はどうですか?

筑波学院大学は私のような外国籍の学生がいて、文化の違いを気にせず交流できて楽しく過ごしています。華道部で生け花を習得中ですが、長時間正座しても足はしびれず平気。静かな空間で日本の文化に浸っています。

(聞き手・橋立多美)

スタッフとシェルターの掃除をするレイギョウさん(左)

夏休みは高校生に開放 静かで能率アップ 筑波学院大図書館

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広々とした筑波学院大学附属図書館2階の閲覧コーナー(昨年の様子)

【橋立多美】つくば駅から徒歩7分の筑波学院大学(つくば市吾妻)が昨夏に続き、夏休み期間中の8月30日まで高校生に附属図書館を開放する。同大は、公開講座やイベントなどを通じて積極的に大学を地域に開放している。課題への取り組みや自主学習に役立ててほしいと、高校生に利用を呼び掛けている。

閲覧席が計238席あり、1、2階の閲覧室とAV資料用座席で勉強できる。閲覧室配置のパソコンも利用できる。約7万5000冊の図書やDVDなどの視聴覚資料は館内で自由に閲覧できるが、高校生に資料の館外貸出は行わない。予約不要で、入館時に入館票に必要事項を記載する。

夏休みに落ち着いて勉強できる場所はないかと思っている高校生には最適。大学図書館の環境を体験しながら勉強でき、静かで能率アップが図れる。ペットボトルや水筒などふた付きの飲み物は館内に持ち込み可。持参した昼食は、ペデストリアンデッキを隔てた本館玄関脇の学生ラウンジで食べることができる。

▷利用時間は午前9時~午後5時。土曜は午前9時~正午まで。日曜とお盆(8月10~17日)は休館。問い合わせは同大附属図書館(電話029・858・4820)。開館日時は変更になる場合がある。同大学のホームページで確認を。

つくば駅から徒歩7分の筑波学院大学附属図書館

公共図書館も学習スペース用意

つくば、土浦市の公共図書館にも学習スペースが用意されている。

【つくば市立中央図書館】書庫の並ぶ1階窓側に34席の閲覧席がある。混雑緩和のため午前と午後、入れ替え制で利用できる。利用日当日、中央カウンターで申し込む。また図書館2階の集会室を学習室(30席)として開放している。自由に入退室でき、申込不要▽学習室の利用は休館日を除く午前9時~午後5時、8月31日まで▽同図書館の開館時間は午前9時半~午後7時、月曜休館。つくば市吾妻2丁目。問い合わせは電話029・856・4311。

【土浦市立図書館】4階まなびのフロアに学習室(95席)がある。同室入り口の座席利用受付システム端末で利用申請が必要。学習室の他にも各階に多くの閲覧席が設置され、目的に応じて利用できる▽開館時間は平日は午前10時~午後8時、土日祝日は午前10時~午後6時、月曜休館。土浦市大和町1丁目。問い合わせは電話029・823・4646。

学生がイベント運営や学習支援をサポート 筑波学院大と美浦村が連携協定

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連携協力協定を締結し握手する(左から)美浦村の中島栄村長と筑波学院大学の望月義人学長=美浦村役場

【鈴木宏子】筑波学院大学(つくば市吾妻)は11日、美浦村と連携協力協定を締結した。連携協力活動として、学生が地域に出て社会活動をする同大のオフキャンパスプログラム(OCP)の一環で、同大学生が美浦村でイベント運営や子供の学習支援活動をサポートする。

同大が自治体と連携協力協定を締結したのは、つくば市、阿見町に続いて3カ所目。

同大の学生は、美浦村の地域団体や企業などと活動することを通して、社会に積極的に貢献できる「社会力」を高めることができるという。同大の武田直樹OCP推進委員長は「母国で教員になることを目指している留学生もいるので、夏休みに開かれる子供の学習支援活動『みほちゃん広場』を学生と手伝ったり、陸平貝塚の陸平縄文ムラまつりなどの運営に関わりたい」と話した。

中島栄村長は「人口減少問題を抱え、村外から注目される自治体をつくっていかなくてはならない。14年間も活動を続けてきたOCPの経験を村にどのように生かせるか、学生は1年生のときから美浦村に来て、2、3年生になって、若い人の柔軟な発想で、村のイメージをつくっていただければうれしい」と話した。望月義人学長は「美浦村はJRA(日本中央競馬会)トレーニングセンターや、最先端のIT企業、日本テキサスインスツルメンツが立地し、大変資源が豊かで学生が活躍する場にも恵まれている。大学には留学生も多いので留学生の目からも村に提案できる。実体験を通してウィンウィンの関係を続けていければ」と述べた。

今年度はほかに、同村子ども・子育て会議に同大の教員が委員として参加する。今後さらに、同大地域デザインコースの学生が同村をフィールドに、文化資源や魅力を発掘する調査、研究をするなどの展開も検討している。

高校生や保護者に紹介 オープンキャンパス始まる 筑波学院大

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キャンパスツアーで、最新のデザイン系ソフトが入ったパソコンが並ぶ情報処理演習室を高校生や保護者に案内する学生スタッフ

【鈴木宏子】来年4月の大学進学を目指す高校3年生たちに向けて、大学で何を学べるかを紹介したり、学内を案内するオープンキャンパスが筑波学院大学(つくば市吾妻)で始まっている。

今年度2回目のミニオープンキャンパスが25日同大で催され、高校生や保護者のほか、日本語学校で学ぶ留学生など計約20人が参加した。参加者は、橋本綱夫理事長から大学の特徴の紹介を受けたり、学内を見て回ったり、個別の相談などをした。

橋本理事長は「テクノロジーが飛躍的に発展しグローバル化が浸透する時代に、課題を発見し、自分で考え、解決する力を身に付けた人材が求められる」と話し、学生が地域に出て活動する同大のオフキャンパスプログラム(OCP)や、企業の商品デザインなどに挑戦している地域デザインセンターの取り組みなどを紹介した。その上で「地域と連携したプロジェクト型の学習は学院大にしかできないこと」などと強調した。

キャンパスツアーでは、学生スタッフの案内で、デザイン系の最新ソフトが入ったパソコンが並ぶ情報処理演習室や、3Dプリンターの機械が設置されている教室を見て回ったり、30畳を超える広さがあり華道や茶道の授業が行われる和室、図書館や学生食堂などを見学した。

案内した経営情報学部ビジネスデザイン学科ビジネスマネジメントコース4年の張替紀樹さんは「学院大は小規模な大学なので、学生と教職員との接点がかなり多く家族みたいな距離感がある。もともと女子大だったが共学になって今は男子の数が多いので、女子学生の方が増えてくれたらいい」などと話していた。

◆オープンキャンパス 今後の日程▽6月16日(日)▽7月21日(日)▽8月10日(土)▽8月24日(土)▽3月20日(金・祝) ◆半日で行うミニオープンキャンパス▽9月14日(土)▽10月26日(土)▽10月27日(日)▽11月9日(土)▽2月1日(土)  詳しくは同大入試広報グループ(電話029-858-4815)

「漬けもの」の歴史と未来 筑波学院大・古家教授 『日本の食文化』第5巻に執筆

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筑波学院大学経営情報学部の古家晴美教授㊨と著述を収めた『日本の食文化』第5巻

【橋立多美】日本人は何をどのように食べてきたのか――。食材、調理法、食事の作法や歳事・儀礼など多彩な視点から日本の食を考える『日本の食文化』(吉川弘文館、全6巻)が刊行中だ。最新刊の第5巻『酒と調味料、保存食』(石垣悟編著)では、「漬けもの」の章を筑波学院大学経営情報学部教授(生活文化、民俗学、文化人類学専門)の古家晴美さんが執筆した。

「漬けもの」の章は、約4500年前の縄文期の大規模集落が発掘された青森市の三内丸山遺跡から、当時海水を用いた漬けものが作られていたと推測される例を引くなど、漬けものの起源や食材、製造法を紹介。また沢庵(たくあん)和尚が北国の野菜不足解消を目的に考案したとされる「貯え漬け」(=沢庵)や梅干しの由来など、漬けものと人との長い歴史を分かりやすく読み解いている。

江戸期以降、一般庶民の食事は飯と汁と漬けもの。副食物の王座は漬けものだった。それだけに漬けものの出来不出来は主婦の評価の物差しで、自慢の漬けものを手土産にしたという。また江戸中期の御家人(家臣)にとって手作りの漬けものは贈答品で、漬けもの作りが武芸の一つだったという話は興味深い。

サラダ感覚のもの増えそう

健康志向と減塩ブームの中、近年の漬けもの消費調査やアンケート調査結果から、購入と嗜好の動向がまとめられている。

古家さんは「令和の時代も、漬けものは食卓で一定の位置を占める」とした上で、「2015年に行われた漬けものに関する2つアンケート調査(各357人、142人対象)では、約半数が『週に数回以上食べている』と回答しています。ただし、健康志向で、塩分控えめの酢を加えたサラダ感覚のものが一層、増えいくかもしれません」

「アンケートで気になるのは、20~30代の人たちのヌカ漬け人気が低く、キムチや沢庵の人気が高い点です。彼ら、彼女らが令和30年になった時に、若い頃の嗜好をそのまま保持しているか、あるいは嗜好が変化するか、非常に興味深い」という。

執筆にあたり古家さんは「漬けものの歴史や地域性を概観しつつ、漬けものが人と人をどのように結び付け、地域・社会・風土とどのように関わっているかに注目しながら書くように努めた」と話す。

13年に和食がユネスコの無形文化遺産に記載されて和食への関心が高まる一方、時短の献立メニューが人気を集める昨今。民俗学や歴史学、家政学などの研究者が、全国のさまざまな事例を挙げながら和食の成り立ちをつまびらかにする書巻『日本の食文化』は、和食への気づきにつながるだろう。

◆『日本の食文化』 既刊は1巻『食事と作法』、4巻『魚と肉』、第5巻『酒と調味料、保存食』。2巻『米と餅』、3巻『麦・雑穀と芋』、6巻『菓子と果物』が順次刊行される。(四六判・上製、吉川弘文館刊、各2700円=税別)

【予告】古家晴美さんは本サイト22日付からコラム「四季の食と民俗」を執筆します。

 

 

《学生インタビュー》17 ボードゲームで子どもの居場所作り

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ボードゲームをする子どもたちの様子=つくば市の春日交流センター

学生が地域で活動し社会貢献する筑波学院大学(つくば市吾妻)の社会参加型教育プログラム「オフ・キャンパス・プログラム(OCP)」で、同大経営情報学部ビジネスデザイン学科3年の加瀬晃大さんと鈴木優介さんらは昨年度、ボードゲームを通じた子どもの放課後居場所づくりに取り組んだ。市民団体「つくばボードゲーム愛好会」に参加して活動した。活動拠点は小中一貫教育校、市立春日学園そばにある春日交流センターだ。同愛好会の活動は毎週水曜日午後3時~5時まで開かれ、将棋やオセロ、チェスなどのボードゲームがそろっている。

経営情報学部ビジネスデザイン学科3年
加瀬晃大さん
鈴木優介さん

―活動に参加した理由は。

加瀬 以前もボランティアで活動していましたが、デジタルではない対面式のボードゲームの楽しさを子どもにもっと伝えたいと思ったからです。

鈴木 私自身、学童保育を利用していました。その時、将棋を経験して好きになったので、今度は私が子どもに教えてみたいと思いました。

―具体的な活動は。

加瀬 子どもが来る30分前にボードゲームをセットし、すぐに対戦できる準備を整えます。来るのは低学年で男の子が多いですね。初めにルールを説明して、子ども同士や学生との対戦を始めます。子どもたちの中には将棋の大会で賞を獲得した腕前の子もいましたので、私たちも参加しました。子どもと接する上でとても大切にしていたことは言葉遣いです。それからけがが無いよう全体を確認して注意を払うことです。私たちは、放課後といえど大切な子どもを預かっているので、常に学校の延長線上にいるという思いで活動しました。

鈴木 そして、ただただ対戦するだけではなく、今日は小学校で何をした?給食は?といった雑談をして、互いになじめるように心掛けました。

加瀬晃大さん(左)と鈴木優介さん

―長時間続けると子どもたちが飽きてしまうという課題があったようですね。

鈴木 そうなんです。課題を解決しようと、どうしたら集中して楽しく続けられるか考え、ゲームに勝って勝ち点を増やしたら上のランクに上がることができるというランク制の導入を提案したところ、見事に子どもたちの集中力がアップしました。やり方を少し変えるだけで対戦がはかどるのだなと勉強になりました。

―活動で学んだこと、感じたことは。

加瀬 デジタルゲームだと自分が勝つことをだけを考えてしまいますが、ボードゲームは対戦相手のリアクションを見ながらできるため、コミュニケーション力を伸ばすきっかけになると思いました。また、記憶にも残りやすくなりますね。

鈴木 子どもは飽きたら室内で走ったり騒いだりする場合があり、それがけがにつながることもあります。楽しく過ごすことだけでなくマナーを教えることもできました。また子どもたちに話をするときは子ども目線で、かみ砕いて丁寧に話をしました。

―将来何を目指しますか?

加瀬・鈴木 システムエンジニアを目指しています。授業でスマホゲームを作っているので生かしたいですね。OCP活動で学んだ「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」も必ず身に付けておきたいです。

(聞き手・谷島英里子)

➡筑波学院大学の過去記事はこちら

つくばの酒蔵を観光資源に 筑波学院大でシンポジウム

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活発な意見交換が行われたパネル討論=つくば市吾妻の筑波学院大学

【崎山勝功】来年の東京五輪を前に、つくばの酒蔵を観光にどう活用するかを考えるシンポジウム「ジオパークと酒蔵ツーリズム―地域資産を観光にどう活かすか」が27日、つくば市吾妻の筑波学院大学で開かれ、市民ら約60人が参加した。つくばの地域振興を目指すNPO「つむぎつくば」(本部・石岡市)が主催し、筑波山地域ジオパーク推進協議会が共催した。

同ジオパーク教育学術部会長の久田健一郎筑波大教授、全国の若手蔵元らが日本酒文化を海外に発信しようとつくった「酒サムライ」コーディネーターの平出淑惠さん、地域活性化の調査研究に取り組むANA総合研究所シニアアドバイザーの丁野朗さんの3人が基調講演を行った。

その後、市内にある日本酒「霧筑波」の蔵元・浦里酒造(同市吉沼)の浦里浩司さんと、「男女川(みなのがわ)」の蔵元・稲葉酒造(沼田)の稲葉伸子さんの2人を交えて、訪日外国人観光客をどう取り込むかを考える「インバウンド需要を酒蔵へ」をテーマにしたパネル討論が行われた。ビジネスデザインを学ぶ筑波学院大学生の西村瑠夏さんもパネリストとして加わった。

久田教授は「リピーターをどれだけ獲得するかが重要」と話し、平出さんは「日本語だけの(日本酒)ラベルはダメ。誰に売りたいのかを考えてのラベルづくりが必要」と語った。丁野さんは「地域の資源を基に(地域を紹介する)ストーリーを作っては」など、さまざまな角度から意見を出した。

浦里さんは「どこに売るかは蔵元の社長により考えが違うので正解は無い。ウチは県外の販売比率は5%でほとんど県内で販売している。輸出はしていない」、稲葉さんは「私のところもつくば市内だけで(販売比率の)95%。つくば以外の県内にもほとんど出していないし、東京にも出していない」と、それぞれの現状を述べた。進行役を務めたNEWSつくばの坂本栄理事長は「霧筑波、男女川を飲みたかったらつくばに来なさい、という蔵元ツーリズムもある」と提言するなど、活発な意見交換が行われた。

交流会では「霧筑波」と「男女川」が来場者たちに振る舞われ、参加者はつくばが誇る銘酒を堪能した。

交流会で振る舞われた日本酒「霧筑波」「男女川」を飲む参加者たち=同大学内のレストラン「カフェ・ド・グルマン」

ジャグリング 男子ビギナー部門で2位に 筑波学院大 草地万里さん

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静岡ディアボロコンテストで上位入賞した草地万里さん=つくば市吾妻、筑波学院大学

【戸田さつき】筑波学院大学(つくば市)の草地万里(ばんり)さん(20歳)が、今年1月、静岡県で開催された「静岡ディアボロコンテスト2019」で、男子ビギナー部門2位、男子テクニカル部門16位に入賞した。昨年のビギナー12位からの大躍進だ。

ディアボロとはジャグリングの一種で、おわんを二つつなげたような形のコマ。それを2本のひもの上で回転させる。ジャグリングというと大道芸の印象が強いが、昨今は人に見せる演技ではなく、スポーツ競技としての側面が注目されているという。

日立市生まれ。現在、同大経営情報学部ビジネスデザイン学科3年。メディア方面への進路を希望し、デザインが学べる同大に入学した。

ジャグリングとの出合いは高校時代。地元で開催された「ひたち国際大道芸」でパフォーマンスを見た。興味を持ったものの、その時は自分がやるとは思わなかったという。

傷跡が目立つ草地さんのディアボロ

入学してから、ジャグリングサークル「Farce(ファルス)」を知り、道具に触れて「やってみたい」という気持ちが高まった。高校時代に創作ダンス部にいたのも手伝って、最初は難なくステップアップ。しかし、覚えていく技の難易度が上がると挫折を味わった。

そこで、他の大学とのジャグリングサークル交流会や関東一円で開かれるディアボロ交流会に参加。他校の学生の積極的な姿勢に圧倒されたが、世界で活躍する選手の存在も知り「もっと上手くなりたい」と強く思うようになった。

練習はサークル活動の他に、自主的に公園などでも行っている。さらに体を回転させる動作を自宅で練習している。ディアボロは体を回転させる動きが多いため、体作りにも余念が無い。練習風景をスマートフォンで撮影し、形をチェックする。その努力を周囲も認め、コンテストで上位入賞した際は「できると思っていた」と声を掛けられたほど。

目標とするのは、昨年の第5回関東学生ジャグリング大会男子個人部門2位に輝いた菅野晟永選手。オリジナルの技で演技する選手として知られる。ディアボロには基本的な技と、基本から派生した技、完全にオリジナルの技があるが、今後はオリジナルを開発していきたいと話す。

高難度の技を習得し、ノーミス、ノードロップ(落とさない)で演技を終えた瞬間の達成感こそが喜びと話す。ディアボロを始めて3年目。来年のコンテストではビギナーではエントリーできない。世界チャンピオンや活躍する選手がひしめく「魔境」と呼ばれるテクニカル部門での上位入賞を目指し、今日も練習に励む。

技を披露する草地さん

➡筑波学院大学の過去記事はこちら

地域の宝物味わって 筑波学院大で図書館カフェ

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おいしいミュージアム運営スタッフの鏡田八汐さん(左)、津久井茜さん(中)、西村瑠夏さん。手前は茶葉入りのミュージアムグッズ=つくば市吾妻

【橋立多美】つくば市吾妻の筑波学院大学附属図書館1階で図書館カフェ「おいしいミュージアム」が開かれている。

同大は、昨年度から地域の社会資源の事業展開を提案する、地域デザイン学芸員を養成するプログラムを実施している。「おいしいミュージアム」は、同プログラムを受講している学生や社会人が地域文化の収集を行う一方、県内のおいしい宝物を探して付加価値化する学びの成果をプレゼンテーションする場で、定期的に図書館で開催されている。

昨年の夏と秋に続き3回目の春の営業で「さくらとめぶきの恵みをいただく」と位置づけ、牛久で育まれた日本茶を主役にしたカフェを展開している。ペデストリアンデッキに面する窓際の14席でお茶が楽しめ、中央のテーブルには「食べる」をテーマにセレクトした本約50冊が並べられている。食材や器の著書、絵本など図書館カフェならではの選書構成になっている。

運営スタッフは、地域デザイン学芸員を志望する同大経営情報学部ビジネスデザイン学科4年の3人。白ブラウスと黒のエプロン姿で接客し、おしゃれなカフェの演出に一役買っている。

来館者にお茶をサービスする鏡田八汐さん=同

牛久女化の茶園で栽培・加工された煎茶、ほうじ茶、和紅茶(各300円)、ラテ(400円)、行方市産の大粒イチゴを用いたイチゴのムース(300円)をシンプルな笠間焼の茶器で提供している。運営スタッフの西村瑠夏さんは「おいしくて健康にも良い日本の緑茶はニューヨークやパリなどで人気が高まっています。お薦めは香りが強すぎずコクと甘みを楽しめる和紅茶」と話す。

受講生たちが開発したミュージアムグッズも展示販売されている。牛久女化には命を助けられた白キツネが、助けた男に嫁いで恩返しするという物語が伝わる女化稲荷神社があることから、「きつねのよめいり」と名付けて5種類の茶葉をパッケージデザインしたもの。「キッチンが華やぐし贈物にも最適。生活シーンで活用してほしい」と西村さん。

ミュージアムの一角には、社会人の地域デザイン学芸員4人による「私が探した地域の宝物」と題したパネルがある。地域に息づく物語や人々が創出するにぎわい、旅の思い出などが展示されている。

◆「おいしいミュージアム」の会期は5月31日(金)まで。月、火、木、金曜は午後1時~同4時、土曜は午前10時から午後2時。日、水曜は休館。4月28日~5月6日は連休。7日以降は筑波学院大学のホームページ(https://www.tsukuba-g.ac.jp/)で確認ください。

食に関する本がセレクトされたコーナー。後方は地域デザイン学芸員によるパネル展示=同
筑波学院大学附属図書館=つくば市吾妻

《留学生インタビュー》2 子どもたち100人が100キロを歩く旅 日本語学びつつ支援

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つくば路100キロ徒歩の旅のようす

学生が学外で活動して社会貢献する社会参加型教育プログラム(オフ・キャンパス・プログラム)で、中国遼寧省瀋陽市出身の張婧博(チョウセイハク)さんは「つくば路100キロ徒歩の旅」に運営スタッフとして参加。県内の小学4~6年生が夏休みに5日間で100キロを歩き抜く体験型学習事業を共にした。主催は「第1回常総100キロ徒歩の旅」を実施した常総青年会議所(現茨城南青年会議所)のOBなどを中心に構成する運営協議会で、行政や教育委員会からの後援、地域の企業、団体からの協賛で運営、昨年までに12回を重ねている。

OCP活動をきっかけに日本語が上達したという張婧博さん

経営情報学部ビジネスデザイン学科4年
張婧博さん

―「つくば路100キロ徒歩の旅」の学生スタッフに挑戦しようとしたきっかけは?

もともと旅行や散歩が好きでした。スタッフ募集のチラシを見たときに、学生スタッフや社会人、そして子どもたちと5日間を共に過ごすので、より日本文化が理解できるのではないかと思ったからです。

―具体的な活動は?

マネジメント室の後方支援として休憩地の運営を行いました。100人もいるので公園のトイレは使えません。子どもが到着する前に、先回りして簡易トイレを設置、終えたら片付けをしました。弁当、飲み物の配布では、事前にアレルギーの有無を確認して準備していましたが、間違えて配布しないようにと、そこは集中して的確に行いました。また、本番の前には危険な場所を確認するためにコースを確認したり、車を止めるための駐車場の申請をしたりしました

―活動の中で印象に残っていることはありますか?

子どもたちがお互いに励まし合いながら歩く姿にとても感動しました。私たち学生スタッフが大変な時に気にかけてくれる子どもたちもいました。日本語があまり上手ではなかったのですが、社会人スタッフが側で丁寧に教えてくれたので、日本語上達のきっかけにもなりました。

―活動していて学んだことを教えてください。

学生スタッフの仕事は役割分担がしっかりしているので、自分のチームの中で協力し合いながら仕事を行うことの大切さを学びました。また、時間を守るなど社会人としてのマナーも学ぶことができました。かつての私のように日本語がわからなくて苦労している外国人も多いと思うので、今後はそういった方々に優しく手を差し伸べられたらなと思っています。

―自然な日本語を身に付ける上でいい経験になったようですね。将来はどう考えていますか?

通訳や日本語教師、国際協力に関する仕事がしたいと思っています。そのために大学院に進学して学びを深めていきたいです。今年もつくば路100キロ徒歩の旅(第13回)のスタッフを務めます。

―つくばに来て3年、住み心地はいかがですか?

中国で4年制大学を卒業後、1年就職しました。そして祖母が住んでいるつくばに来て、留学生向けの筑波学院大国際別科に入りました。つくばは緑豊かで空気がきれいですね。最近は日本の神社を巡るのが好きで、筑波山神社や千葉県の大戸神社に行きました。歴史を感じたりお守りを買ったり楽しんでいます。
(聞き手・岡本穂高)

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スクエアダンスで交流 筑波学院大新入生

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手をつないでスクエアダンスを踊る新入生たち=つくば市吾妻の筑波学院大学

【崎山勝功】筑波学院大学(つくば市吾妻)は3日、新入生対象のフレッシュマンセミナーの一環で、新入生同士の交流を促す「スクエアダンス」の講習会を行った。新入生約220人が参加した。講習会は2015年に初めて導入して以来5回目。

スクエアダンスは、2人1組の男女4組(計8人)が正方形の陣形を組んで、コーラー(指示を出す人)の英語の指示に従って一斉に動きを変え、ウエスタン音楽にのせて踊る米国発祥のフォークダンス。

講習会では、市民団体「筑波スクエアクラブ」会員ら10人の協力を得て、学生たちがぎこちない動きながらもスクエアダンスに挑戦した。

新入生の秦虎之介さん(18)=福島市出身=は「いろいろな動きがあって、動きが複雑なので難しい」と感想を述べた。初めて体験したという留学生のハンサニ・ピュミカさん(21)=スリランカ国籍=は「楽しかった。いろんな人と一緒に踊れるのが良かった」と語った。

新入生のサポート役として在校生7~8人も参加。2年生のグエン・ゴック・アンさん(23)=ベトナム国籍=は「去年入学したとき初めて体験し面白いと思った。今回は新入生と一緒に踊ってすごく楽しかった」と述べた。

筑波スクエアダンスクラブの蓮沼隆さん(51)は「いろいろ覚えることが多いので大変だと思うが、楽しくやってもらえればいいのかな」と語った。

新法人の筑波学院大で入学式 望月新学長が式辞

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入学式で式辞を述べる望月義人学長=つくば市吾妻、筑波学院大学

【鈴木宏子】新しい大学法人としてスタートした筑波学院大学(つくば市吾妻)で2日、2019年度入学式が催された。新学長に就任した望月義人氏は「大学の時間と空間で巡り合う様々な経験に無駄はない。なりたい自分を希求し、将来、自分を育ててくれた国や地域に能力を還元していただきたい」などと式辞を述べた。

望月学長は「経営母体が学校法人筑波学院大学となり、今年度は大学にとっても新たな時代の到来となる。大学改革を進め、教育内容、教育環境をより良いものにしていきたい」などと話した。

続いて新法人の橋本綱夫理事長は「今までの歴史を大切にしつつ、新しい歴史を積み重ねていきたい。教職員だけでなく皆さん一人ひとりが歴史をつくる一員。一緒に新しい歴史をつくっていきたい」などとあいさつした。

経営情報学部210人と国際学科の留学生39人など計255人が入学した。新入生代表として同学部ビジネスデザイン学科1年の圃田桃花(はたけだ・ももか)さん(18)は「建学の精神である知識、徳性、技術を磨き、社会に貢献できる人間に成長できるよう日々精進していきたい」などと宣誓した。

新入生代表として壇上で宣誓する経営情報学部ビジネスデザイン学科1年の圃田桃花さん(中央)=同

同大は4月1日から経営母体が東京家政大学から新しい学校法人に移行した=2018年9月1日付。大島慎子前学長は3月末日で退任し、新学長に前学長補佐の望月氏が就任した。望月新学長は、朝日新聞社経済部次長、マーケティングセンター長を経て、同大教授などを歴任した。

文化資源発掘し新ビジネス創出へ 筑波学院大が阿見町と協定

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連携協力協定を締結した阿見町の千葉繁町長(右)と筑波学院大学の大島慎子学長

【鈴木宏子】筑波学院大学(つくば市吾妻)は25日、阿見町と連携協力協定を締結した。協定に基づいて同大は2019年度に「地域デザイン学芸員」を養成する授業を通して、阿見町の文化や資源を掘り起こし、付加価値を付けた商品やサービスを開発して、図書館や空き店舗などで発信することを目指す。

さらに同町の地域資源に付加価値を付けてビジネスを起こす同学芸員の育成を目指す。担当する同大の塚原正彦教授は、同町の地域資源について予科練平和記念館や、霞ケ浦のセーリングなどのスポーツ、医療用漢方製剤工場として世界一の規模のツムラ茨城工場の漢方記念館・薬草見本園などを例に挙げ、「食・健康・スポーツをテーマに今までにないものをつくることができれば」と話した。

同大は18年7月から文科省の職業力実践プログラムとして社会人や学生の人材養成に取り組んでいる。初年度は牛久市を舞台に授業を実施し、茶葉、イチゴなどに着目し、ブックレットを作成したりスイーツを作るなどした。現在、同大附属図書館で成果を発表している。2年目の19年度は阿見町を舞台にするという。

さらに19年度の成果を生かして同町は、未来ビジョンやアクションプログラムを策定し、具体的な動きをつくっていくという。

ほかに同大が14年前から実施している、学生が地域に出て企業や市民団体などと活動する「オフキャンパスプログラム」を、新たに阿見町の企業や地域団体でも展開するという。

同町の千葉繁町長は「阿見町はポテンシャルがあるが有効活用できなかった。町の宝探しをしてくれるということなので、宝物を学生に見つけていただき、阿見町が地域で抜きん出るようなまちづくりを進めたい」と話し、同大の大島慎子学長は「ヨーロッパでは学芸員が地域の観光資源を観光産業に変えていく活動をしている。ビジネス化して町のイメージを変えていけるようなものを育てたい」と話した。

ロボットセラピー普及へ 筑波学院大が今川グループと協定締結

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高齢者施設でのロボットセラピーの様子(浜田利満名誉教授提供)

【鈴木宏子】認知症高齢者などを対象にしたロボットセラピーの研究に取り組んでいる筑波学院大学(つくば市吾妻、大島慎子学長)が18日、県南地域などで介護施設を展開する今川医療福祉グループ(同市谷田部、今川美明代表)と連携・協力協定を締結した。高齢者施設でのロボットセラピーの普及に取り組む。

同大の浜田利満名誉教授らは、施設同士が将来、高価なロボットをシェアして活用する仕組みづくりや、セラピーを担う人材育成を目指して、今年夏にもNPO法人を設立する準備を進めている。

同大は2001年からロボットセラピーの研究と実証実験などに取り組んできた。板井志郎准教授によると、高齢者施設で実施する1回1時間程度のプログラムが現在ほぼ完成したことから普及を目指すという。

セラピーは、数種類の市販のコミュニケーションロボットを使う。高齢者は、会話をしたり歌ったりする人型ロボット「ユメル・ネルル」をなでておしゃべりしたり、体を動かしたり歌を歌うペットロボット「アイボ」と一緒に体操をしたりゲームをしたりする。孤独や寡黙が認知症の発症や進行の原因になるといわれている中、同セラピーにより、施設に入所する高齢者に笑顔や会話が増えるなど日常生活が活発になっているという。

協定は、今川グループみなみつくば会の藤原忠志企画開発部長が、同大の寄付講座で学生にホスピタリティー実務を教えたことなどを機に実現した。ロボットセラピーは、5月ごろから月2回程度、かすみがうら市宍倉の特別養護老人ホーム筑水苑かすみがうらでスタートする予定だ。

浜田名誉教授は「介護する職員にとっても、ほっとする時間になれば」と話す。

連携・協力協定を締結した(左から)今川医療福祉グループ筑水会副理事長で特別養護老人ホーム筑水苑の今川武彦施設と筑波学院大学の大島慎子学長

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250インチ大型スクリーン寄贈 筑波学院大に 学生や市民の作品上映

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寄贈された250インチ大型スクリーン=筑波学院大学講堂(同大提供)

【鈴木宏子】筑波学院大学(つくば市吾妻)に18日、縦3.3メートル、横5.3メートルの250インチ大型スクリーンが寄贈された。同大には映像コンテンツの制作を学ぶメディアデザインコースがあることから授業などで活用する。市民も利用できるようにし、学生や市民が制作した映像コンテンツを上映したり、名画を鑑賞するミニシアターを開くなどの構想もあるという。

環境保全サービス会社、安田(八千代町塩本)の安田忠司会長(66)から100万円の寄贈を受け、同大が大型スクリーンなどを購入した。

大島慎子学長に目録を手渡す安田忠司会長(左)

安田会長は八千代町商工会地域活性化推進委員会の副委員長を務める。特別履修生として同大で国際経済を学んだことが縁で、同大と商工会は2017年、八千代町の活性化を目指す協定を締結した。

協定に基づいて今年2月、商工会が同大と共催し、町を活性化させるアイデアを募集する「八千代町の未来を創るアイデアコンテスト2018」を開催したばかり。コンテストには地元の小学生や高校生からも応募があり、小学6年生が最優秀賞を獲得するなど、10代の活躍が目立った。

安田会長は「コンテストの開催が刺激になって、町の小学校からは来年もぜひ開催してほしいという声が掛かっている。思ってもいない結果が出ている」と話し、「大学にお世話になったことへの感謝の気持ちと、4月から大学に地域デザインコースが新設されることから、大学の飛躍を願っての寄付。ぜひ役立てていただければ」と語る。

スクリーンは本館2階の講堂などで使用する。同大はつくば市などと共催して毎年、つくばからの文化発信と次世代の才能発掘を目指す短編映画祭「つくばショートムービーコンペティション」を主催している。同大で開催する際はこれまで、専門業者から大型スクリーンを借りて上映などしてきたが、これからは寄贈品を活用する。移動式のため屋外でも利用可能だという。

日本語教員養成プログラム 2019年度募集始まる 筑波学院大学

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「日本語教員養成プログラム」講座のもよう

【田中めぐみ】筑波学院大学(つくば市吾妻、大島愼子学長)の開設する「日本語教員養成プログラム」で、19年度の受講生募集が13日から始まった。申し込みは26日まで。入学時期は4月、募集定員は10人。

訪日外国人や海外での日本語学習者の増加に伴い、日本語教員の需要が高まっており、外国人に対する実践的な日本語指導能力を備えた日本語教員を養成する。文部科学省認定の「職業実践力育成プログラム」(BP)の1つで、修了者には同大学から履修証明が交付される。日本語学校の求人要件を満たすものだ。

日本語教員養成プログラムは総時間458時間(うち必修は428時間)、標準履修期間は2年。日本語教員に必要な日本語や日本語教育指導の基礎的な知識およびコミュニケーションに関する授業を行う。さらに同大学には、外国人のための「国際別科」という集中的な日本語教育機関があり、この場を活用した実習を行い、実践的な指導能力を育成する。加えて幅広い知識と経験を得るために、インドネシアなど、海外での日本語教育実習の機会も提供する。

プログラムは16年度から開設されており、すでに修了者のうち2人が日本語教員として活躍中という。現在は、留学生を含む学内の生徒のほか、学外から20代~70代の4人が同プログラムを受講し、勉強している。

検定料(出願書類提出前に納入)1万円、入学金 1万5000円、2年間の受講料 32万8800円(必修科目受講料のみ、選択科目受講料およびテキスト代除く、半期ごとの支払い可)

▼問い合わせ 筑波学院大学学生支援グループ(つくば市吾妻 3-1)、直通電話:029-858-4813 メール:gakumu@tsukuba-g.ac.jp

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99人が巣立つ 筑波学院大学で卒業式

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大島学長から学位記を授与される卒業生=つくば市吾妻、筑波学院大学で(筑波学院大学提供)

【橋立多美】筑波学院大学(大島愼子学長)の卒業式が12日、つくば市吾妻の同大で行われ、国際別科を含む卒業生99人がそれぞれの進路に向けて新たな一歩を踏み出した。

卒業生代表の篠原亨さんに学位記を授与した後、大島学長は「つくば市をキャンパスにした本学の特色ある教育を受けた皆さんは、新しい時代を切り拓く地域のリーダーになってほしい。私自身の経験から、迷ったときにはリスクを冒しても一歩前に踏み出すことが重要で、自分を成長させるチャンスを与えてくれた」とエールを送った。

在校生を代表して経営情報学科3年の菊地フェルペさんが「先輩たちが時に厳しく、また優しく指導してくれたのは私たちの財産です」と送辞。卒業生の降矢住澄さんが「私たちがくじけそうになった時に教職員や友人、家族が背中を押してくれた」と感謝を込めて答辞を述べた。

式では、竹下樹菜さんに大江賞が、大屋有加さんに学長賞が、それぞれ贈られた。大江賞は、同大の創立者大江スミさんの建学の精神を指針として励み、優秀な成績を収めた学生に贈られる。学長賞は、国家資格や検定試験などを複数受験し成果を収めた学生を表彰するもの。

卒業生の保護者も式に臨み、「蛍の光」を斉唱して閉会した。

あっという間の1年、貴重な4年

ベトナムから来日して国際別科で学んだド・ホン・ソンさんは「あっという間の1年だった。来月からは経営情報学科で勉強する」。藤村嘉剛さんは「友人との交流や思い出ができた貴重な4年間だった。これからは社会人として基本に忠実に頑張っていこうと思う」と話した。

華やかな袴(はかま)を身に付けた熊野未来さんは「在学中にダンスサークルに入り、舞台でパフォーマンスを披露した。学生時代だからできたことで、活動を通してチャレンジ精神を養うことができた。体験を生かして前向きな社会人でありたい」と笑顔を見せた。

スーツと袴姿で式に臨んだ卒業生たち=同

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《留学生インタビュー》1 なぜごみを分別するのか? 子どもたちと映像で考える

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映像発表会で活動に参加した感想を発表するグエンさん㊨

学生が学外で活動して社会貢献する社会参加型教育プログラム(オフ・キャンパス・プログラム)で、多文化共生のまちづくりを目指す常総市の国際プロジェクトに参加した。多くの外国人が暮らす同市で日常的に発生しているのがごみ問題。正しい分別や出し方をまとめた啓発映像を多国籍の子どもたちが夏休み中に制作し、大人たちに啓発していこうという取り組みで、動画作成の支援活動に携わった。ふるさとはベトナムホーチミン市。来日してからの経験が生かされたと振り返る。

経営情報学部 ビジネスデザイン学科 2年
チャン タオ グエンさん

歯切れよく日本語を話すグエンさん

―具体的にどんな活動をしたのですか?

常総市とNPO法人コモンズの代表理事・横田能洋さん、当大学地域連携コーディネーターで学校ICTサポーターの松﨑茂樹さんが協働で進めたワークショップ形式の活動でした。「iPad(アイパッド) でリサイクルを伝えるニュースを作ろう」という講座で、私は動画部門のグループに入り、iPadを使った動画作成のサポートやアプリの操作支援をしました。子どもたちに地域のルールを理解してもらうために、同市のごみが搬入される常総環境センター(守谷市)の見学と撮影や、ごみ分別が守られている市内のごみ集積所の撮影をしました。

―子どもたちとのコミュニケーションはうまくとれましたか?

講座に来てくれたのは12人の児童と生徒で、国籍はブラジル、ペルー、フィリピン、日本でした。どの子もかわいくて、遊びを取り入れながら日本語で指導しました。子どもたちが撮影した写真約400枚と2時間の動画を編集して約10分の映像が完成しました。子どもたちとの関わりを含めて映像制作は忘れられない思い出です。

―活動していて感じたことは何ですか?

私は安城市にあるトヨタ自動車で技能実習生として3年働きました。帰国後は日本への実習生派遣を行っている会社で日本語を教えていました。もっと日本語や英語が上手になりたいと、再来日して筑波学院大学で学んでいます。初めて日本に来た頃は、なぜごみを分別するのか分からなかった。講座に集まった子どもたちも同じだと感じ、日本のリサイクルの考え方を分かりやすく伝えるようにしました。

―これから進む道は見えてきましたか?
私が筑波学院大学に入学したのは、カリキュラムを自由に選んで自分の可能性を探せると思ったからです。自然に恵まれたキャンパスも気に入っています。卒業後はここで学んでいる語学力や国際コミュニケーション力を生かした仕事に就きたいです。常総市の国際プロジェクトに参加して、国際交流に役に立つ仕事もいいなと思うようになりました。
(聞き手 橋立多美)

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