金曜日, 4月 26, 2024
ホームつくば【気分爽快 りんりんロード】1 「自分の世界広がる」髙山了さん

【気分爽快 りんりんロード】1 「自分の世界広がる」髙山了さん

秋はサイクリングシーズン。コロナ禍で、密にならない身近な野外レジャーが注目されている折、「つくば霞ケ浦りんりんロード」をさっそうと走れば気分もリフレッシュできそう。昨年ナショナルサイクルルートに指定され、モデルコースは充実、レンタサイクルもある。日々、りんりんロードと周辺を走る地元の自転車愛好家に、魅力を聞いた。

ポタリングがおもしろい

【田中めぐみ】土浦市在住の髙山了(さとる)さん(73)は、「普段の足慣らし」として日常的にりんりんロードを走っている。

定年退職後、60歳から10年かけて、奈良からローマまでのシルクロード約2万キロを自転車で横断した経験がある。以前から日本の歴史や文化のルーツをたどりたいと考え、定年になり、シルクロードを自転車旅行する愛好サークル「シルクロード雑学大学」(事務局・東京)に所属し、仲間と共に走破した。

次の新たな目標は、日本の海岸線を一周すること。自らを「鉄っちゃん(鉄道ファン)でもある」という髙山さんは、自転車と鉄道を組み合わせて一周する計画を立てている。

日頃走る、りんりんロードの魅力について「りんりんロードを軸に、気ままに脇道に入ってポタリングするのがおもしろい」と話す。「ポタリング」は、目的地を特に定めることなく自転車でめぐる散歩のこと。気ままにサイクリングすると、思いもよらぬ発見があるという。

例えば、土浦に前方後円墳があることを知っているだろうか。りんりんロードの虫掛休憩所からほど近い「常名天神山古墳」(土浦市常名)で、なんと全長約70メートルの前方後円墳が見られる。

りんりんロードを外れ、筑波山麓方面に足を延ばすと行き当たる「六所皇大神宮霊跡」(つくば市臼井)も、髙山さんには発見したばかりの興味深いスポットだ。かつて筑波山神社の里宮とされ、現在は廃社となっている。往時どのような人たちがどのように神様を拝んでいたのか、時の流れに思いをはせるという。

六所皇大神宮霊跡にある磐座=つくば市臼井(髙山さん撮影)

「平沢官衙(かんが)遺跡」(同市平沢)で立ち止まってみるのも気持ちがいい。広々とした開放感を満喫できる。北条から筑波山への参詣道である「つくば道」は日本の道百選にも選出されており、古の情緒を感じるスポットだ。

都内から訪れた人を髙山さんが案内すると「こんなところがあったとは」と皆一様に感動し、必ず喜んでくれるそうだ。

りんりんロードを霞ケ浦湖岸沿いに下り美浦村まで足を伸ばせば、初めて日本人の手によって発掘調査が行われ「日本考古学の原点」とされる「陸平(おかだいら)貝塚」がある。史跡・文化に興味ある人におすすめのスポットが満載だ。

奈良・平安時代におかれた郡役所の跡とされる平沢官衙遺跡(髙山さん撮影)

人も歩けば望に当たる

地元の人との交流も髙山さんの楽しみのひとつになっている。田植えの季節には農作業する人に声を掛け、田植え機に詳しくなったそう。土浦出身だが「地元でも知らないところがまだまだたくさんあり、りんりんロードは何度走っても飽きることがない」という。

「犬も歩けば棒に当たる」をもじり、「人も歩けば望に当たる」と笑う。望とは新しい希望という意味だ。地域の魅力を再発見することで、自分の世界が広がっていくのを感じると話す。髙山さんの言うように、風の向くまま気の向くままに自転車で行けば、新しい希望を見つけられそうだ。

初心者はすぐ買わない

「りんりんロードはよく整備されていて、都内の有名サイクリングロードと比べても格段に走りやすい」という。比較的空いているため初心者にも安全だが、いくつか注意点があるそうだ。

まず、自転車を始めるからと言ってすぐに買わないこと。自転車には様々な種類があり重さや値段もピンキリ。自分がどのように自転車に乗るのか、スタイルが定まらないうちは中古車を買って試したり、レンタサイクルを活用したりして様子を見ることが大事だ。

走り方のスタイルが定まったら、経験者や自転車屋さんに相談しながらどのような自転車が合うか吟味するとよい。

自宅に駐車スペースがない場合は折りたためる小径車もおすすめだ。また、けが防止のためにヘルメットを着用し、服装は長袖長ズボンとし、肌を出さないこと。ハンドルの滑り止め用の手袋をはめることも必要だ。

忘れがちなのが保険加入。対人事故の可能性も考え、自転車保険に入っておくことも忘れずに。サドルの高さ調整やペダルを踏む際ひざを平行に保つこと、ブレーキのかけ方などにもコツがある。初心者はけがにつながらないようよく勉強してから始めたい。髙山さんは「自転車の楽しみ方はいろいろ。人それぞれ見つけてほしい」と話した。(続く)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

大地震など緊急事の薬《くずかごの唄》138

【コラム・奥井登美子】最近、処方箋に「残薬調整」と書かれているのを持ってくる人が多くなった。いい傾向である。そういうとき、我々薬剤師は、患者さんが前にもらった分の残薬を入れて、調剤する。 「残薬調整と処方箋に書いてありますので、すみませんが、残薬を見せて下さい」 家に残っている薬の数を紙に書いて持ってくる人もいるが、私は実物を見せてもらっている。薬を大事に保存している人の中に、期限が切れた昔の薬が混ざっていることがあるので、私は必ず錠剤の形や色などを点検して、期限を確かめている。 自分の薬は自分で持って逃げる 「随分たくさん、薬が残ってしまいましたね」 「ハイ。引き出しを整理したら、いつの間にか、こんなにたくさん…」 「大地震があったときの『緊急事態用』に、1週間分ぐらい別にして、救急カバンに入れておいたらいいと思いますけど」 「救急カバンなんて、ないわ」 「自分で作るしかないですよ」 「避難するような大地震なんか、この辺りであるわけないと思いますが…」 「関東大震災から100年です。もしかして地震があって、万一避難するとき、自分の薬だけは自分で守って持っていく。そういうときのために、自分用の救急袋を作っておいたらいいと思いますけど…」 「能登半島の地震のとき、薬はどうしたのでしょう」 「さあ、わかりませんが、防災は個人個人違うと割り切って、大切なものを大事に保管しておいたらいかがでしょう」 無いと困る血圧や心臓の薬 医療の不備だった事例はいろいろ報道されているけれど、薬は、個人個人あまりに違いがありすぎるせいか、あまり報道されていない。薬剤師会の中に「災害時情報共有システム」という組織が地域ごとにあるが、電気もない中でどう働くのか、私にもわからない。 血圧の薬。心臓の薬。1週間以上休薬することができない薬は多い。薬はかさばるものではない。せめて自分のいつもの薬くらいは、緊急時に持って避難することを心掛けてほしい。(随筆家、薬剤師)

研究学園駅近くにBBQ広場 つくば薫製手作り工房がオープン

つくば学園の森 薫製手造り工房(つくば市二の宮、塚崎雅之社長)は25日、ベーコン、ハム、ソーセージ、スモークチキンなどの直販所にバーベキュー(BBQ)広場を併設した「Bella Foresta TSUKUBA(ベラ・フォレスタ つくば)」をTX研究学園駅から約1キロのつくば市西大橋にオープンした。イタリア語のベラ・フォレスタは美しい森という意味で、森林を切り開いたエリアで薫製肉を焼いて食べられる。 10数本の大木を残した新施設の広さは1200坪(4000平方メートル)。ここに、薫製肉販売店、BBQゾーン、ハム・ソーセージ造り体験施設、ドッグランなどが広がる。真壁石を磨いて造られたBBQ用のテーブルとイスは20セット用意されている。駐車場は隣接地に約50台分。 塚崎社長は「研究学園駅から1キロ、つくば駅から1.5キロの場所。タクシーだと1メーターと両駅から近い。旧村落に残っていた森林を買い取り、市民が集える場に整備した。キッチンカーが営業できる区画も設けたので、業者さんは店を出してほしい」と語る。 つくば市内を貫く土浦学園線から約200メートルのところに位置し、自動車でのアクセス性もよい。 当面は薫製肉販売とBBQが中心になるが、今秋にはフランスパンとジェラートの店もオープンする。場所は同広場第2駐車場そばの元飲食店舗。塚崎社長は「今、社員2人をイタリアで研修させている。ハムやソーセージをパンに挟んで食べ、イタリア風アイスも楽しんでもらいたい」は話す。(岩田大志) ◆同店はつくば市西大橋59-7。問い合わせは電話029-846-0186(同店)。ホームページは現在制作中。 ➡塚崎さんの過去記事「電気工事会社 …ハム工房を経営…【キーパーソン】」はこちら

団体客から個人客にシフト 「亀の井ホテル 筑波山」オープン

筑波山中腹のつくば市筑波に「亀の井ホテル 筑波山」が23日、リブランドオープンした。昨年9月末、「筑波山温泉 つくばグランドホテル」が米国の投資ファンドに譲渡され(23年8月10日付)、同ファンド子会社でホテル運営会社のマイステイズ・ホテル・マネジメント(東京都港区)が客室やレストランなどの改修を実施していた。つくばグランドホテルは団体客の利用が多かったが、新たなホテルは家族連れやペットとの旅行、サイクリングなど多彩なスタイルで旅行する個人客を主なターゲットとする。訪日外国人の誘客も目指す。 客室は、小さな子供を持つファミリー向けのキッズルームや、3世代で宿泊できるファミリールーム、愛犬と宿泊できるペットルームなど新たな客室が新設された。 食事は、団体客向けの宴会場を無くし、2階にビュッフェ形式のレストランを新設。常陸牛の焼きしゃぶ、県産キノコを使ったきのこ鍋、県産食材でアレンジする山海丼のほか、朝食は納豆の食べ比べができるなど、県産の食材を使った豪華な食事を自由に取り分けて食べられるようにした。ビュッフェ形式は筑波山にある五つの観光ホテルで初めてという。 7階の露天風呂は、今まであった柵を取り払い、関東平野や富士山、日光連山などの大パノラマが望める絶景の露天風呂に改装した。 ロビーラウンジがある3階は、家族や友人とリラックスしたり交流できる空間としてゲームやトランプなどができるゲームエリアを新設した。 今後さらに、自転車を客室に持ち込めるサイクルルーム、部屋の中から関東平野の景観を楽しめるハリウッドパノラマビュールームなどを新設し、7月6日にグランドオープンする予定。 24日は関係者を集めて内覧会が催され、新装施設が案内された。ロビーラウンジがある3階南側には広いデッキが広がり、関東平野が見渡せる。ラウンジはファミリーなどを意識したものに改装され、元カラオケルームは大画面でゲームを楽しめるゲームルームになった。家族や友人と、トランプや人生ゲームなどのボードゲームを楽しめるテーブルも設置された。7階キッズルームはかわいいキノコのキャラクターが登場する楽しいデザインが施されている。2階のビュッフェレストランは青森のねぶた師が手掛けた「つくばねぶた」が置かれている。朝食、夕食とも好きなものが食べられ、外国人も想定した多様なニーズに応える。 同ホテルの天満龍裕支配人(45)は「茨城のおいしい食材を提供するなど食事に力を入れており、豊富なメニューをそろえている。レストラン、ビュー、新しいお部屋はもちろんだが、まずはお客様を温かく迎えられるホテル、人に会いに来ていただけるホテルづくりを今後ともしていきたい」と話す。 同ホテルは客室61室(定員325人)、宿泊料金は1人当たり一般客室1万3000円~、ファミリールーム1万8000円~(消費税、サービス料込み)。初年度は年間約3万2000人の宿泊客を目指す。 亀の井ホテルは、マイステイズ・ホテル・マネジメントが2022年4月、日本郵政から「かんぽの宿」30施設を譲り受け運営を開始したホテルと、亀の井ホテル別府(旧別府亀の井ホテル)など計32施設により22年7月に誕生した。筑波山は39施設目。県内では、かんぽの宿だった大洗、潮来に次いで3施設目。 日帰りから滞在型へ 筑波山観光の新たな戦略とは? 筑波山は首都圏から日帰りできる距離にあり、現在、日帰り観光が主流になっている。どうやって滞在型に変えていくのか、天満龍裕支配人と、本社の増井香織マーケティングアドバタイジング パブリックリレーションズチーム チームマネージャーに新たなホテルの運営戦略などについて聞いた。 ー亀の井ホテル筑波山の魅力、売りは何か。 天満支配人 今回は食事を一番変えさせていただいた。茨城県の魅力がたっぷり詰まったビュッフェになっている。ビュッフェはファミリー層が大好きかと思う。食事は県産のきのこ鍋、納豆カツなど。朝食では納豆3種食べ比べをしたり、夜朝共に茨城の食材をふんだんに準備している。あと、亀の井ホテルグループの共通メニューもあって、どこの亀の井ホテルに行ってもおいしく食べていただけるメニューもあるので自信をもってご提供させていただく。(首都圏から)近くにこんないいところがあるんだよということを知っていただきたい。 それから弊館の売りは関東平野のビュー。7階のインフィニティ露天風呂があってそこからの景色はひじょうにすばらしい。宿泊のお客様だけが利用できるので、食事や温泉の魅力を十分に発信していきたい。 今サイクリストが多く、筑波山にも自転車で来られる方がたくさんいらっしゃる。そういった方々が筑波山に上がってこられて一休みできるようなサイクルルームもつくる。いろんなニーズに応えられるように、ファミリー向けのキッズルームや3世代向けの絆ルームをつくったり、多種多様なお部屋を準備するので、今まで日帰りで帰ってしまったお客様が一休みできる空間をつくっていきたい。 ―宿泊客をどこから呼び込むのか。 天満 亀の井ホテルグループには、旧かんぽの宿で会員になっていた方々を中心にKMC会員(カメノイ・ホテル・メンバーズ)が66万人おり、亀の井ホテルのいろいろな温泉地を巡っていただこうと取り組んでいる。関東圏のお客様が多いが、遠方からお越しいただいている方もいらっしゃる。会員様を増やしていこうとキャンペーンを組み込んだりしており、さらに会員数を増やしていきたい。 ―筑波山のホテルは、客室で食事をとる個室食が中心だが、亀の井筑波山では個室食は提供しないということか。 天満 以前は団体のお客様がメーンで、宴会場も大中小3カ所あったが、ビュッフェや客室に改装した。今回、個室食のメニューから一新してビュッフェに変えた。お客様のお声をお聞きすると「個室食なんだよね」というお声が結構あった。個室食が好きなお客様もいらっしゃるが、筑波山には個室食のお宿(ホテル・旅館)がたくさんある。ビュッフェのレストランをもっているお宿はあまりない。こういった差別化を図りながら、地元の古くから営業されているお宿との共存を目指して、より多くのお客様が筑波山に来ていただけるコンセプトを考えたい。 ―地元のつくば市では職場の忘年会や宴会で筑波山のホテルを利用するというイメージがある。亀の井筑波山では宴会は受けないということか。 天満 宴会をされたい方はほかのお宿があるのですみ分けをしたい。 ―訪日外国人客(インバウンド)はどれくらいを想定しているのか。 天満 今現在のインバウンドは15%ぐらい。私の中ではまず15%から30%に増やしていきたい。インバウンドをとっていきたいというのはビュッフェにした理由の一つでもある。海外からのお客様でメニューが口に合わないものがあったり、食べられないものがあったりということがある。ビュッフェスタイルであれば好きなものが食べられる。地元の食材をふんだんに使った茨城県のおいしい料理を知っていただきたいと料理を準備させていただいた。温泉もあり、東京からのアクセスがいい。筑波山は標高877メートルと百名山の中でも低いが、コースによってはすごくきつかったり、なだらかな魅力あふれるコースがある。そういったことを身近に楽しめる場所として最適な場所だと思う。海外の方も、地元の方も大切しながら、共存できるホテルづくりをしていきたい。 ー県内には大洗、潮来、筑波山と3件の亀の井ホテルがある。どのように連携していくのか。 天満 例えば亀の井筑波山に問い合わせがきたお客様に「うちはいっぱいですけど、こちらはいかがですか」とご紹介ができたり、あと食器とか「こういういいものがあるから使ってみたら」と情報交換がすごくしやすかったりする。 ―米国の外資系ホテルが初めて筑波山に進出してきたということで、地元としては期待やさまざまな受け止めがある。 増井 本社チームマネージャー つくばグランドホテルの時代は地域との共存はすごくあったと思う。私たちが運営を引き継いで、どういうホテルになるんだろうという期待を皆さんにもっていただいている。ホテルも運営会社も、近隣の皆さんと一緒に筑波山という地域、茨城という地域を盛り上げたい、観光に貢献したい、寄与したいというスタンスでいる。(榎田智司、鈴木宏子)

「つちまる」も好きだけど「ラーシク」も好きになった《遊民通信》87

【コラム・田口哲郎】 前略 3月1日発行No.1356「広報うしく」の表紙には、牛久市の公式キャラクター「ラーシク」を中心に、牛久市観光協会のキャラクター「かっぱのキューちゃん」、美浦村の「みほーす」、阿見町の「あみっぺ」、竜ヶ崎市の「まいりゅう」、河内町の「かわち丸」そして土浦市の「つちまる」が、牛久シャトーをバックに勢ぞろいした写真が載っています。 ゆるキャラ好きとしては、ここになぜ、かすみがうら市の「かすみがうにゃ」がいないのかが気になりますが、事情があったのでしょう。 さて、牛久市の公式キャラクターはかっぱのキューちゃんだと思われがちですが、それは観光協会のキャラクター。市のほうは「ラーシク」です。牛久市といえば、ワイン醸造所だった牛久シャトー、世界一の高さ120メートルでギネス認定された牛久大仏が有名ですから、ワインやブドウの妖精、大仏さんになりそうなものですが、ラーシクは一見したところではご当地名物を読みとれない姿です。 公式ホームページには、「『ゆるキャラ』が乱立している世の中ですが、単にかわいらしさは狙わず、ぶどうは甲州、うなぎは浜名湖、などの地域の特徴へのこだわりも捨て、まったく新しい五感の創出と、大勢の中にあっても埋もれない強さを持ったキャラクターが誕生しました」とあり、その意気込みが伝わってきます。 カワイイだけじゃない、精神的な受け皿になる意気込み 単にカワイイだけではない、「人間は一人ひとりみな違うもの。牛久の市民がそれぞれに『自分らしく生きる』こと。それが結果として牛久のまちを輝かせる」という哲学を表しているそうです。 自分らしく。そんなラーシクは「まちの活性化に主眼を置」いているそうで、公式キャラクターの任務を忘れません。さらに、行政キャラクターにありがちな前向き一方の理想をうたっていないところがすごい。 「悲しいこと、辛いこと、楽しいこと、なんでも受け止めてくれるみんなの受け皿になります」。楽しいことのみならず、悲しいことも受け皿としてわかってくれる。精神的なよりどころであることも宣言されています。こうした精神性が先立つゆるキャラにはあまりお目にかかったことがないので、おどろいたとともに良いなあと思いました。 他人の悲しみを受け止めるのは並大抵の大変さではないと思います。牛久市役所の職員の方々は日々、市民の困りごとに対応されていると思います。悲喜こもごも、人間が生きることは楽しいことばかりじゃないけれども、ラーシクのやさしい笑顔が包み込んでくれる。 そう思うと、ラーシクに不思議な愛着がわいてきます。私は「つちまる」の大ファンでもありますが、ラーシクファンにもなりました。市民が人間らしく生きられる町、そんなおだやかなポリシーをかざらずに表明する牛久市が、これからも牛久らしくあることを願っています。ごきげんよう。 草々 (散歩好きの文明批評家)