【大山茂】「母の日」の10日を前に、土浦市荒川沖のカーネーション栽培農家、斎藤洋一さん(53)、礼子さん(49)夫妻のハウスでは切り花用カーネーションの収穫がピークを迎えている。
夫妻が栽培しているのは、一般的な一輪咲きと一本の茎から数輪の花をつけるスプレー型。このほかに、斎藤さんが所属する常陸野カーネーション組合(8人)が開発したオリジナル種(24種)も2割近く手掛けている。
オリジナル種の「あられ」は出荷先の東京・大田花き市場が主催する「2018フラワーオブザイヤーOTA」で最優秀賞を受賞した自慢のカーネーション。品質に優れ、希少種として中央市場などで高値で取り引きされてきた。
13日間花持ちを保証
斎藤さん夫妻は現在、ハウス5棟を自宅周辺に構え、2300平方メートルに12品種、20万本を生産している。カーネーション業界では中堅農家だ。
同組合が栽培するカーネーションは、セリの日から13日間の花持ち保証を売りにしている。日本花き生産協会(JFGA)の認証を受け、出荷箱には「日持ちさん」と名付けられたキャラクターが描かれている。日持ちの技術は県経済連との共同研究で全国に先駆けて実現、他産地と差別化を図っている。
洋一さんは「低農薬で栽培し、収穫後は冷温庫で腐敗の元になるエチレンガスを特殊な装置で除去している。出荷する時は鮮度保持フィルムで包むなど、品質にはとことんこだわっている」と話している。
需要激減、ネット販売にも力
新型コロナウイルスの影響でイベントやパーティーの中止が相次ぎ、生花の需要は激減した。斎藤さん夫妻は全農を通じて大田市場に出荷しているが、価格は低迷し、例年の半分以下の収入減になると肩を落とす。
こうした状況を打開しようと、県女性農業士の肩書を持つ礼子さんは収穫したカーネーションを地元の直売所やスーパーに持ち込んで直接販売を始めたほか、例年以上にネット販売にも力を入れている。
カーネーション30本化粧箱入りの1ケースで、基本料金は4200円(送料・箱代・消費税込み)。母の日用カーネーションは今季の予定数を終了している。